ナサコアパネルの特徴と今後の課題
1.ナサコアパネル ~新しい潜熱蓄熱構造体~
【はじめに】日々の生活において四季の移り変わりを楽しむ人々は多いですが、その人たちも夏の耐えきれない暑さ、冬の厳しい寒さはせめて住家の中では避けたいと思うのが人情であります。
空調機器の普及する所以でありますが、それと同時に私たちには地球温暖化に対する国の実情を超えた要請に応える義務があります。
最も格安なコストで快適指数(PMV)±1.0以内の快適空間を創るにはどうしたらいいか?
具体的には年中恒温の住家は実現できないものだろうか?
昼夜の温度差を利用して恒温化を実現し、更に夜間電力のエネルギーを昼間にシフトし有効活用することでコストの削減も図れるはずです。
見方によってはエントロピー増大の経験則に反するような目的に多くの専門家は首を傾げ、疑問符?を付けるのが現状であります。
こんな中にあって、ここに新しい潜熱蓄熱構造体ナサコアパネルを公開できることは、まことに喜ばしく、更にスマートグリッドにも貢献出来る事は光栄であると考えております。
研究の機会を与えて頂いたUR都市機構都市住宅技術研究所に深甚な謝意を表するところであります。
また、ナサコアパネルの効果の実証研究に参加頂いた東京電力(株)、ミサ ト中央研究所、日本工業大学の関係者の皆様に、初期の目標の達成の喜びを分かち合えることは無上の悦びと感ずるものであります。
2.実測に使われたナサコアパネルの特徴
【解説】従来の蓄熱には顕熱蓄熱材(例えば、水、コンクリート、岩石など)が用いられ、効果的蓄熱のためにはその熱容量が大きくなくてはならず、したがって、大量に用いる必要があり、建築設計上の自由度を著しく低くするものでありました。
熱の吸収や放出は温度差によって自然に行われるため、大きな質量の蓄熱効果としては時間遅れとして現れることになり、四季の温度変化と位相がずれて良い場合と悪い場合に分かれることが経験されています。
例えば、「9月末外は涼しいのに部屋の中は暑い」、「4月戸外は春が来て暖かいのに家の中は2月並みにいやに寒い」などです。
一方、潜熱蓄熱材は相変化(固体⇔液体)を応用し、蓄熱量を多くし、さらに構成材料の割合を調節することで、相変化の温度を適当な温度に設計し、吸熱、放熱の温度を或る程度自由に変え、恒温性を実現できます。
このような潜熱蓄熱材はこれまで数多く発明され、特許申請されています。
しかし、それらのほとんどは熱の出入の配慮に問題があったと言っても過言ではなく、製品として有効に実用化されているものは少ないのが現状です。
ナサコア(株)はこの問題の解明に長年研究を続け、遂にこの度の実証実験に至ったのであります。
吸熱放熱の温度の設定も今回の実験の重要な課題の一つでありました。
ナサコアパネルの構造上最大の特徴は、理論的には応用に適った組成で構成された潜熱蓄熱体であっても、熱の出入が理論通りでないとその目的を達成出来ないことになりますが、その解決方法として細かなセルの集合体構造(パネル状)を採用したことであります。
さらに厚さ5~10㎜のパネルに蓄熱材を密封し完成しました。熱の出入を速やかに全体に及ぶように改良し、また、時間差がなくなることで構成要素の変化を最小限にすることができたものと考えております。
その後、液化温度、凝固温度の調節もある程度目的に近づいた結果を得ることができました。
3.蓄熱材と断熱材の違い
さて、恒温性を実現するのは蓄熱材であり、断熱材ではないことは次のように考えることで理解されます。Aの生活空間は完全断熱材で囲まれているとします。
Bの生活空間は完全蓄熱材で囲まれているものとします。
したがって、外部の温度変化はいずれの空間にも全く及ばないことになります。
しかし、Aの空間は内部で発生した熱はそのまま空間内部に停留し、その空間の温度を上昇あるいは下降させることになります。
ところが、Bの空間は内部で熱が発生しても全て蓄熱材が吸収し、内部は蓄熱材の温度に維持されます。
冷却の場合も同様であり、内部の温度は最終的には蓄熱材の温度に保たれ、恒温性を実現します。
このように、同じ断熱効果が期待されながら、結果は異なることが理解されます。生活空間の恒温性は蓄熱材によってのみ実現されると考えるのが合理的と言えます。
これを実際に経験することがあります。
それは、部屋の窓ガラスに断熱フイルムを貼り付けて外部の暑気を避けようとする場合です。
最初の内はフイルムの効果はてきめんで確かに涼しく感じますが、日が経つにしたがい、徐々に室温が高くなってくるのです。
そこで、思い当たるのが放射冷却という事実です。
夜間、外部の温度が低くなると室内の熱は放射によって外部に放出されるのです。
それを断熱フイルムは阻害することで徐々にではあるが室内の温度が高くなるのでした。
以上のように潜熱蓄熱構造体ナサコアパネルはこれからの快適な生活空間の実現に大いに利用されることが期待されます。
4.考察と課題
【考察】今回使用した潜熱蓄熱材による効果は、夏期において顕著に現れた。
これは、潜熱蓄熱材の相変化温度が夏の温度帯に合っているためであると思われる。
(30℃で溶解)冬期、仕上げ材の下にある潜熱蓄熱材が相変化温度に到達するためには、室内空気を対流式暖房で暖めるのではなく、床暖房のような潜熱蓄熱材を直接暖めるものとの組み合わせが必要である。
【今後の課題】
夏期・冬期ともに潜熱蓄熱材の効果を得るためには、相変化温度に幅を持たせ、夏期の潜熱蓄熱材位置の温度で溶解、冬期の潜熱蓄熱材位置の温度で凝固するよう変更する必要がある。
そのため蓄冷専用パネルと蓄熱専用パネルを開発する。そうすることで暖冷房設備の運転時間を更に短縮可能となり、住宅の暖冷房省エネルギーに寄与する建材となると考える。
更に安価な夜間電力と組合せることで、室温を夏季はピークカット(28度以下)冬期はボトムアップ(20度以上)し空調運転を最少限とし快適時間を増加させ、CO2削減に寄与すること。
なお、当初平方メートル/10,000円の予定で出発したが、その後の技術革新により性能も飛躍的に進歩し、生産量次第では大幅なコストダウンの確証を得た。
5.建材以外に考えられる用途
新しい型と熱変換率を活用して【厚さ5~10mm、500./平方メートル、8~16㎏/平方メートル】
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