ナサコア株式会社:

日刊工業新聞(2009/11/20)に老朽団地での空間創出実験が紹介されました。

老朽団地で空間創出実験

既存建築物改修に活路 賃貸事業に有望な技術探る

老朽団地で空間創出実験

 
【記事内容】
UR都市機構は老朽化した賃貸住宅で、「ルネッサンス計画」という大規模改修実験を行った。
あらゆる技術を用い、少子高齢化時代のニーズに合った住棟単位のリノベーションに挑んだ。従来は2007年に策定した「ストック再生・再編方針」に基づき、住戸ごとに改修したり、既存住棟を取り壊し、新たに高層住宅に建て替えたりしてきた。ただ立地や費用の面から、今後は住棟単位の改修の方が有利な場合も想定されるため、実験を行い、適切な改修技術を確立する。
URが高度経済成長期の昭和30-50年代前半に建てた50万戸の"メーンストック"のうち、約半数が中層階段室型。これは「耐震性など構造上問題はないが、空間性能や遮音性、設備水準が劣り、現在のニーズにあってない」(徳中聡子都市住宅技術研究所住まい技術研究チームリーダー)状況だ。
実験は東京都東久留米市の「ひばりが丘団地」の老朽化した3棟の階段室型住棟で実施。エレベーターを設置し、減築・増築を施したほか、2DK(35平方メートル)の住戸間の壁・床・天井を取り壊し、2戸分でファミリー向け、4戸分で2世帯向けに切り替えた。
改修には複数の技術を採用し、工法や工期、費用などを検証した。例えば住戸を狭く、暗く感じさせる一番の要因だった天井高の低さや室内に張り出した梁の場合、1階住戸は床を下げ梁を削り、従来に比べ40センチメートル高い2メートル70センチメートルの天井高を確保。2階以上は床・天井ごと打ち直し、室内に梁が張り出さない空間を創出した。
また、階段を撤去する場合、ニブラ(重機)を用いた方が騒音も少なく、安価で工期も短い。だが重機を入れる空間がない場合に備え、作業員がブレーカー(電動のみ)で撤去するなど、「工期やコストだけでなく、工事環境に合わせて合理的な方法を検証した」(同)。
実験棟は来年7月まで一般公開し、その間に室内の温熱環境、遮音性能、打ち増した天井や床の強度を調査する。
老朽化した賃貸住宅は賃料が安いこともあり、全国77万戸の平均空室率は3-5%とまだ低水準。今回の実験に投じた施工費は8億円、検証費用を含めると8億5000万円にのぼる。
老朽化住宅を改修すると費用負担が大きく、賃料に転嫁すると空室率の上昇を招く恐れもある。
「実験段階のルネッサンス計画を事業として展開できるかが今後の課題」(同)としている。