第4章 面状発熱素子の応用
面状発熱体の応用は多岐にわたる。ここでは床暖房・融雪への応用5)およびサケ仔魚の育成6)ではプラヒート(熱半導体)の高い遠赤外線放射効率を利用する特異な応用について、参考のため紹介する。4.1 床暖房への応用
床暖房については18年前に設置された特別養護老人ホームにおける例である。蓄熱材との併用により、夜間8時間通電のみで必要な空間の暖房を行っていることを24時間の温度経過により示すと図15のようになる。
図から外気温0℃から20℃でも、室温は18℃から23℃であると読める。外気温の変化が20℃と大きいが、室温には殆ど影響の無いこと、潜熱蓄熱の効果が確認出来る。
また、消費電力量の推移は下降しており、PTC効果が確認出来る。

図16は室内垂直方向の温度分布の測定結果であり、床面近くから、天井近くまで温度はさほど変わらないことを示している。

上図は九州電力の協力により、横浜国立大学工学部建築学科 建築学教室 環境工学研究室が行った「潜熱蓄熱式床暖房システムの調査研究」7)(ヒートバンクシステム―ミサト㈱製)1987年度・1988年度)より引用。

4.2 屋根の融雪への応用
PTC特性のある面状発熱体(プラヒート)を積雪量に応じ布設量を調整し、夏の太陽熱に耐える工夫をした。1960年代後半より実施しており、北陸地方のみでも1,200軒以上の実績があり、その有効性を保持している(図17)。
4.3 遠赤外線放射の応用
一例として、サケ受精卵の孵化する前後の育成において低温(0℃~1℃程度)の河川水でありながら、プラヒートによる養魚池水面から2mの上面と床面からの放射(図18)により、湧水(8℃)に匹敵する育成効果(図19)が見られ、通常の積算温度による育成速度に比べ、極めて大きな効果があることが確認された。この応用は著者の観察の結果を実際に実験することになり、学術的には生物の光に対する感度の解明が必要であるが、工学的には遠赤外線の照射が有効であることを示したものと云えよう。
現在、北海道知床半島中心に約3,000万尾/年のサケ、カラフトマス等の稚魚に実施され、高い回帰率を実現している。
この輝かしい成果が得られたのは、(昭和58年当時)水産庁北海道さけますふ化場調査課長廣井修博0士の大英断と、関係各位の一致したご協力とが相まって実現に至ったことを、改めてここに記して深甚なる謝意を表します。








